RONI HORN ロニ・ホーン
This is me, This is you

20 JUNE – 10 AUG 2008


RAT HOLE GALLERYでは、ニューヨークを拠点に活動する現代美術作家ロニ・ホーンによる日本初の個展「This is Me, This is You」を開催いたします。

 ロニ・ホーン(Roni Horn)は1955年ニューヨーク州生まれ。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインとイェール大学にて学びます。在学中の75年頃から本格的に作品制作をはじめ、初期の頃はミニマリズムに影響を受けたコンセプチュアルな立体作品を制作していましたが、90年代に入ると写真作品を中心に制作発表しはじめます。
 "言葉を通じてヴィジュアルにたどり着く"というホーンは、写真、インスタレーション、ドローイング、テキストなど様々な表現形態を通じて、見るものに時間や空間、または人の経験や存在、記憶、アイデンティティについて考えさせる作品を制作するアーティストです。

 今回発表するシリーズ《This is Me, This is You》は1998年から2000年に渡り、ホーンの姪であるジョージア・ロイを撮影したシリーズです。壁一面グリッド状に並べられた48枚のジョージア・ロイのポートレイトは少女から大人になる過渡期の様々な表情が写し出されています。そして、その壁の向かいにはミラーのように同じく彼女の48枚のポートレイトが展示してあります。一見すると全く同じ作品が左右対称に飾ってあるかのように見えますが、よく見るとそれは数秒後にとられた違う写真なのです。
ホーンは、ただ飾ってある写真が作品ではなく、鑑賞者が作品を見る事によって初めて作品が成立すると考えます。鑑賞者が実際に展示空間に立ち、作品を前にして、そのグリッド状に並んだ対の写真群が同じではないという事に気づく時間も含めて、この作品は成立するのです。

 タイトルの《This is Me, This is You》は"これは私、これはあなた"という意味ですが、"私"とは姪のジョージア・ロイでもあり姪の姿に自身を見たホーンでもあり、また"あなた"とはホーンでもあり姪のジョージア・ロイでもあり、ホーンのレンズを通したジョージア・ロイを見ている鑑賞者でもあります。しかし "これ"とはいったい何を指すのでしょうか? この作品の主体はどこにあるのか、それを考える事は鑑賞者一人一人に委ねられています。「見る」という行為について、「実体」と「イメージ」との関わり方について、ホーンは決して回答を提示せず、なぞなぞのように我々に問いかけます。アイデンティティをまだ定めきる事が出来ない不安定な思春期の少女の、時にあどけなく、時に無邪気な、時に大人びた表情を見ながら、我々はその問いに向き合う事になるでしょう。

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