セルゲイ・イェンセン

Classic

Apr 22 – Jun 19, 2016


ラットホールギャラリーでは2016年4月22日から6月19日まで、セルゲイ・イェンセンの個展を開催いたします。新作のペインティングが発表される本展は、日本で初めてイェンセンの作品を目にすることができる機会となります。

1973年デンマーク生まれのセルゲイ・イェンセンは、リネンやシルク、カシミア、麻、ウール、カンバスといった様々な織物をファウンドオブジェとして転用したペインティング作品で知られています。その制作過程には、縫合や漂白、天然染料・グワッシュ・アクリルによる染色が組み込まれ、無造作に切り落とされた布地のひとつひとつは、筆触をはじめとする絵筆を用いた絵画行為を想起させます。また、実際に絵筆が用いられる際には、抑制の利いた色調のみが採用され、時にはカンバスの裏からペイントされることで、具象と抽象の間を揺れ動くようなミニマルな画面が生み出されています。


Sergej Jensen
Hate Matisse 2013
Aquazol, acrylic and wood on silk
32 3/4 x 22 3/4 inches (83.2 x 57.8 cm)
Courtesy of the artist and Regen Projects, Los Angeles

本展では、欧米の銀行で貨幣運搬に用いられる布袋を幾何学的な抽象絵画のようにグリッド状に縫い合わせた《Money Bag》や、イェンセンが昨年から取り組んでいる具象作品も発表されます。具象作品では、ルネサンスやロマン主義といった古典絵画をソースとする具象イメージ、あるいはテンペラ画やフレスコ画のレイヤーに似たテクスチャーが用いられています。しかし縫合・漂白を経た彼の抽象作品が、表面上は絵画の中庸に則しているようでいて、その慣習を換骨奪胎していることと同様に、彼の具象作品もまた、古典絵画の歴史を参照しているかのように見えて、非慣習的な方法でモチーフやソースを結びつけています。

イェンセンのペインティング作品では、縫合・漂白・彩色といった行為から生み出された「図」のみならず、ネガティブな空間にも見える「地」もまた、画面の重要な要素として考えられています。さらには、羊毛の斑点をはじめ、布地のほつれや着崩れ跡まで、素材がもつ偶発的な細部へのこだわりや、旧作で用いた布地を新作にも流用するといった自己言及的な操作も、彼の作品には欠かせない要素となっています。レディメイドの概念と制作時の物理的痕跡が交差する場所で生み出されるイェンセンの作品には、意図と偶然性が織りなす減算の美学を見てとることができるでしょう。


Sergej Jensen
Untitled 2012/2013
Acrylic and fabric on sewn fabrics
124 1/2 x 104 inches (316.2 x 264.2 cm)
Courtesy of the artist and Regen Projects, Los Angeles


Sergej Jensen
Untitled 2014
Sewn moneybags
110 1/4 x 89 1/4 inches (280 x 226.7 cm)
Courtesy of the artist and Regen Projects, Los Angeles


Sergej Jensen
Acrylic Painting II 2013
Acrylic on linen
51 x 46 inches (129.5 x 116.8 cm)
Courtesy of the artist and Regen Projects, Los Angeles


Sergej Jensen
Untitled (old vs. young) 2014
Acrylic on linen
110 1/4 x 120 1/2 inches (280 x 306.1 cm)
Courtesy of the artist and Regen Projects, Los Angeles

 

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