ガーダー・アイダ・アイナーソン

Studies and Further Studies in a Dying Culture

2017年9月8日 – 11月26日


ラットホールギャラリーでは9月8日より11月26日まで、ガーダー・アイダ・アイナーソンの個展を開催いたします。当ギャラリーにて3回目の個展となる本展は、アイナーソン自身はじめての試みとして、ペインティング作品にのみ焦点を絞り、新作10点を展示いたします。


Gardar Eide Einarsson
Tales Of A Terror Cult
Acrylic, gesso and graphite on canvas
220 x 180 cm (87 x 71 inches), 2017
Courtesy of the artist, Team Gallery, New York and Rat Hole Gallery, Tokyo

ガーダー・アイダ・アイナーソン(1976年ノルウェー生まれ、東京在住)は、ペインティングだけでなく、立体作品や映像作品など、ジャンルを横断して多岐にわたる作品を制作しています。その作品はこれまで、個展・グループ展を問わず、世界各地の美術館やビエンナーレ等で展示されています。

アイナーソンは、権力関係に忍び込む恐怖やパラノイア(偏執・妄想)に加え、社会・政治・経済の構造における権力とそれに対する抵抗に、強い関心を注いでいます。彼の作品では、政治から犯罪まで多種多様な社会事象のイメージや情報が、アプロプリエーション(剽窃)・アッサンブラージュ・抽象化といった手法を経ることで、本来の文脈や意味が剥ぎ取られ、様々なレイヤーの折り重なった、しばしば権力への抵抗を示すものへと作り変えられています。

本展の作品に描かれている図像はそれぞれ、書物の装幀やDVDのパッケージデザイン、政治的なノベルティなどから引用されたものです。具体的には、日本の終末信仰集団を取材したドキュメンタリーフィルム、大恐慌時代のシカゴの政治を分析した1937年の書物、1969年に開催された14人のミニマリズム作家の展覧会図録、急進的左翼アクティヴィズム(加速主義)の書物などを挙げることができます。どの作品にも共通して現れているのは、作品タイトルが含み持つ意味と、作品のフラットな表面がもたらす空虚さとの落差です。意味内容や「絵画らしさ」は後退し、見る者は常にそのフラットな画面にどこか「遠さ」を感じることでしょう。

しかしながら、彼のペインティング作品の核心は必ずしも、四辺に囲まれたカンヴァスの中だけにあるわけではなく、タイトルの着想元であるソースマテリアルもまた重要な役割を担っています。意味伝達という機能が取り払われた彼の作品は、代わって、絵画の表面を見ることからだけでは完全には読み取れない、どこか他の場所に存在する言説空間への戸口として機能し始めます。 ミニマリズム絵画や構成主義絵画にも通底する、徹底したモノクロームの使用をはじめ、アイナーソンのペインティング作品は、色あるいは情報量に抑制をきかせるなど、制作にあたって厳格な枠組みが採用されています。そうすることで彼は、制作時のアクシデントや偶然を絵画の問題へと引き上げ、絵画にしかなしえない「空間」を出現させています。

本展にあわせて、ラットホールギャラリーよりアイナーソンのペインティング・シリーズ《Tarp》を収録した作品集を刊行いたします。

[パブリックコレクション] ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、ロサンゼルス現代美術館、フランクフルト現代美術館、ストックホルム近代美術館、オスロ国立美術館

 

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